千利休の弟子である古田織部はルールや規範にとらわれない、大胆な造形を工芸の世界に持ち込んだ茶人。

 隈研吾は、そんな彼の美意識を「魅力ある陶器を大量生産するための発想でもあったのでは」と考える。
そこであえて安価な素材を使い、組み立てや分解ができるコンテンポラリーな茶室を考案。2005年に『織部の茶室』を発表。

 また隈研吾自身が茶室の中で胎児回帰したような感覚を覚えることから、そのイメージも重視した。歪んだ繭のようなフォルムは、織部の自由な造形感覚へのオマージュとなっている。

 
   
素材はカットされた厚さ5mmのプラスティックダンボール。通常は梱包などに使われることが多い。床には光源を仕掛けてあり、茶室全体が不思議な光を放つ。   プラスティック段ボールは65mmの間隔で、梱包材用の結束バンドにより固定されている。そのため取り外しも容易。   角のない茶室の内部は、確かに胎内を思わせる。ここで茶会を行った際、室内の一端に花入を置いた。
 
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